フコイダン

   

投稿日:2023年8月29日/更新日:2024年3月22日


フコイダンという成分をご存知でしょうか。

 

フコイダンは褐藻類のヌメリ成分のことで、水溶性食物繊維の一種です。現在、活発に研究が進められている成分であり、抗がん作用や抗炎症、抗ウイルス作用など、様々な薬理作用が発見されています。

 

フコイダンはもずくや昆布、わかめなどにごく微量に含まれ、食事からでも摂取は可能です。ただし、健康目的でまとまった量のフコイダンを摂取したい場合にはサプリメントがおすすめです。

 

本記事では、フコイダンの代表的な効果や副作用、摂取方法について解説していきます。フコイダンについて知りたい方には有益な内容となっていますので、是非参考にしてみてください。

 

フコイダンとは

フコイダンは、海藻類に含まれる特有のぬめり成分のことで、水溶性食物繊維の一種です。

 

海藻類の中でももずくや昆布など、いわゆる褐藻類にのみ含まれているのが特徴で、海藻を外的刺激から保護する役割を果たしています。

 

化学的には高分子多糖類の一種であり、硫酸基が結合したフコース(硫酸化フコース)を主成分とし、そこにいくつかの糖が結合した構造をしています。

 

フコイダンは1913年にスウェーデンの学者によって発見されて以来、健康や美容に良いとして長い間注目を集めている成分です。最近ではがんを抑制する効果も認められており、より一層大きな注目を浴びています。

 

フコイダンは原料によって種類が異なる

フコイダンは原料となる海藻によって、種類や特徴・効果が異なります。なかでも、特に高い注目を集めているのがもずく由来のフコイダンです。

 

もずくは、フコイダン含有量が非常に多い褐藻類です。コンブ・ワカメの3〜10倍もの含有量である「100g中2g」のフコイダンを含んでおり、食事から摂取しやすいだけでなく、サプリメントの原料としても重宝されています。

 

また、ほぼすべてのもずくが日本国内、おもに沖縄で生産されているため、入手しやすい点も特徴です。近年では、海外からも健康効果の高いスーパーフードとして注目されています。

 

そんなもずく由来のフコイダンには、抗がん作用やコレステロール低下作用だけでなく、以下のような幅広い健康効果が確認されています。

 

  • 胃粘膜を保護する作用
  • 胃の荒れや胃潰瘍を修復する作用
  • ピロリ菌の接着を防ぐ作用 など

 

フコイダンの代表的な5つの効果

フコイダンは複数の生理作用を持つため、効果についても様々なものが報告されています。

 

中でも注目されているのが、以下の5つの効果です。

 

  • 抗がん・抗腫瘍作用
  • 抗炎症・抗アレルギー作用
  • 抗菌・抗ウイルス作用
  • 生活習慣病予防
  • 美容効果

 

これらはどれも健康・美容分野において重要な働きであることから、現在も活発に研究が行われています。

 

ここでは、フコイダンの代表的な5つの効果について解説していきます。

 

【参考】

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18794778/

 

抗がん・抗腫瘍作用

フコイダンの作用の中で最も注目されているのが、抗がん・抗腫瘍作用です。

 

フコイダンの抗がん・抗腫瘍作用には、以下の3つの作用が関与しています。

 

  • アポトーシス誘導作用
  • 免疫活性作用
  • 血管新生抑制作用

 

アポトーシスとはプログラムされた細胞死現象のことで、がん細胞の増殖を抑えるうえで重要な機構の1つ。フコイダンにはこのアポトーシスを誘導させる作用があるので、がん細胞の増殖を抑える効果が期待されています。

 

また、がんの発生を抑えるうえでは免疫機能が大切で、免疫細胞が日々がんの発生を抑えてくれています。フコイダンには免疫を活性化させる作用があるので、がん予防にも効果的です。

 

そして、フコイダンには血管新生を抑制する作用も報告されています。がん細胞は自身を増殖させるために新たに血管を作り(血管新生)、そこから栄養を取り入れようとする性質があります。しかし、フコイダンにはがんの血管新生を抑える働きがあり、がんの成長を抑える効果も期待されているのです。

 

【参考】

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30621045/

抗炎症・抗アレルギー作用

フコイダンには抗炎症・抗アレルギー作用があることも分かっています。

 

アレルギーが発症する際にはいくつか原因が考えられますが、中でも大きな関与を示すのが免疫システムの乱れです。免疫システムはTh1細胞、Th2細胞というリンパ球に大きく左右されており、Th2細胞が過剰になった場合にアレルギーが生じやすくなります。

 

しかし、フコイダンにはTh1/Th2の細胞比を安定させる作用があり、アレルギー症状を緩和する効果が期待されています。

 

近年は花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状が増加傾向にあるので、フコイダンはこれらの症状を緩和するのに効果的です。

 

【参考】

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34940701/

 

抗菌・抗ウイルス作用

フコイダンは抗菌・抗ウイルス作用を持っていることでも有名です。

 

いくつかの報告によると、フコイダンはウイルスの侵入阻害、及び分泌型IgA抗体の産生促進を介し、A型インフルエンザウイルスの感染を防いだことが確認されています。この発見はインフルエンザの予防に役立つ可能性があるため、現在でも研究が進められている最中です。

 

そのほか、フコイダンは以下のウイルスに対して増殖抑制作用が確認されています。

 

  • ヘルペスウイルス
  • C型肝炎ウイルス
  • HIVウイルス
  • 帯状疱疹ウイルス
  • ヒトサイトメガロウイルス

 

また、フコイダンにはピロリ菌を除去する効果もあります。

 

ピロリ菌は硫酸基に結合しやすく、フコイダンの硫酸基にも結合しやすいので、フコイダンと一緒に排泄されやすいです。

 

それに加え、胃粘膜を保護したり、炎症によって荒れた胃粘膜を修復したりする作用もあるなど、胃を良好な状態に保つのに効果的な成分となっています。

 

【参考】

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25660579/

 

生活習慣病予防

フコイダンは生活習慣病の予防にも効果的です。

 

フコイダンは水溶性食物繊維なので、血中コレステロール値を減少させる効果が期待されています。実際、過去の動物実験によると、フコイダンを与えた動物はそうでない方に比べ、血中コレステロール値が下がったとの報告がなされています。

 

コレステロール値が低下すると血液凝固を阻止できたり、中性脂肪が下がったりするので、動脈硬化や体重増加の予防に効果的です。

 

また、水溶性食物繊維には余分な糖を吸着する性質もあるので、フコイダンには食後血糖の上昇を抑える効果も期待されています。

 

実際、糖尿病モデルマウスを用いた試験では、フコイダンの摂取で糖の吸収抑制、及び筋肉への取り込み促進を介し、血糖値の上昇を抑えられたことが確認されています。血糖値の上昇は糖尿病にも関わってくるので、フコイダンは糖尿病の予防・改善にも効果的です。

 

【参考】

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33440853/

 

美容効果

フコイダンには美容効果も報告されています。

 

フコイダンは水溶性食物繊維であることからも分かる通り、高い保水作用を有しているのが特徴です。実際、フコイダンが配合された化粧品は保水力が優れており、高い保湿効果を示すものが多くあります。

 

また、フコイダンは肝細胞増殖因子「HGF」を増やすことも分かっています。HGFは肝細胞の再生に関与する物質である一方、肌組織の再生にも関与が確認されている物質です。そのため、フコイダンには肌組織再生を介した美肌効果も期待されています。

 

そのほか、フコイダンには抗酸化作用による老化防止効果、便通促進(デトックス)による栄養吸収率の向上、毛乳頭細胞活性化を介した育毛効果など、様々な美容効果が確認されています。

 

フコイダンには副作用はある?

 

フコイダンは海藻由来の天然食品成分なので、大きな副作用はありません。

 

海藻は長きにわたって食べられている食品ですが、それによって大きな健康被害が生じたという報告はないので、フコイダンは安全な成分とされています。

 

フコイダンの1日あたりの推奨摂取量は1〜3gと言われているので、この量を守って摂取するようにしましょう。フコイダンは食事やサプリメントなどで摂取できるので、これらを上手く活用して摂取するのがおすすめです。

 

フコイダンの摂取方法

フコイダンの摂取方法をまとめると、以下の3つに集約されます。

 

  • フコイダンを多く含む食品から摂取する
  • サプリメントから摂取する
  • 保湿ローションやシャンプーから摂取する

 

フコイダンは海藻由来の成分なので、食事からでも摂取はできます。しかし、無理なく摂取したい場合にはサプリメントもおすすめです。

 

また、最近では保湿ローションやシャンプーに配合されていることも多く、化粧品からでも摂取しやすくなっています。

 

ここではこれら3つの摂取方法について解説していますので、自身に合った方法を見つけてみてください。

 

フコイダンを多く含む食品から摂取する

先ほど説明した通り、フコイダンは海藻由来の成分なので、食事からでも摂取できます。

 

フコイダンを多く含む食品には、もずくやめかぶ、わかめ、昆布、ひじきなどがあるので、食事から摂取する場合にはこれらの海藻類を食べると効率的です。

 

なお、もずく、めかぶ、わかめは特に多くのフコイダンを含んでいるのが特徴で、それぞれの含有量は以下の通りとなっています。

 

  • 生もずく:1.77g/100g
  • 生あかもく:1.2g/100g
  • 生めかぶ:0.43g/100g

 

ちなみに、フコイダンは水分に溶けやすく、一度乾燥させた食品にはほとんど含まれていません。海藻を乾燥させた食品は数多くありますが、これらの海藻にはフコイダンはほとんど含まれていないので、その点については注意するようにしましょう。

 

フコイダンを食事から摂取する場合には、出汁ごと摂取できるお吸い物やスープ、未乾燥のモズク酢などがおすすめです。

 

サプリメントから摂取する

毎日の食事で摂取するのが難しい場合には、サプリメントから摂取するのもおすすめです。

 

サプリメントは成分が濃縮されており、少しの量で十分量の成分を摂取できるので、効率的にフコイダンを摂取しやすくなっています。最近ではサプリメント以外にドリンクも提供されているので、代わりにドリンクで摂取するのもありです。

 

ちなみに、製品を選ぶ際にはできるだけ吸収されやすく、効果も実感しやすい「中分子フコイダン」が配合されているものを選ぶのがポイントです。中分子フコイダンは体内吸収率と効果の大きさのバランスが取れているので、他のフコイダンよりも効果を実感しやすいと言われています。

 

保湿ローションやシャンプーから摂取する

フコイダンは美肌・老化防止・育毛効果を持つため、美容業界からも注目を集めています。最近ではこれらの効果を目的として、フコイダン配合の保湿ローション、シャンプーが販売されることも増えている傾向です。そのため、美肌・老化防止・育毛効果を得たい場合には、これらの化粧品を活用するのも1つの方法です。

 

また、最近ではダイエットやデトックスを目的として、フコイダンのサプリメントやドリンクが提供されていることもあります。美容効果を得たい場合には、これらのサプリメントやドリンクを活用するのも効果的です。

 

ちなみに、先ほど説明した通り、ドリンクやサプリメントを選ぶ際には中分子フコイダン配合のものを選ぶと、効果を実感しやすいと言われています。

 

健康食品・サプリメントのOEMは「Held(ヘルト)」にお任せください

 

フコイダンは海藻由来のヌメリ成分で、水溶性食物繊維の一種です。

 

抗がん・抗腫瘍効果を始め、抗アレルギーや抗ウイルス効果など、様々な健康効果を有しているのが特徴となっています。

 

褐藻類に含まれ、食事からも摂取できますが、食事での継続的な摂取は難しいこともあるので、最近ではサプリメントも人気です。

 

Held(ヘルト)では、最新のニーズやお客様のご要望に合わせて、様々な機能性原料を用いた商品の提案をしており、企画から製造、販売まで、トータルでのサポートが可能となっています。

 

フコイダンを配合した製品の対応も可能ですので、フコイダンを配合した独自製品の販売を検討している場合には、お気軽にお問い合わせください。

 

 
管理栄養士、博士(生物環境調節学) 千葉 大成

■監修

管理栄養士、博士(生物環境調節学)、専門は栄養生理学 千葉 大成

■人々の健康のために

 東京農業大学大学院博士課程修了後、国立健康栄養研究所、大学研究機関で、食と健康に関わる研究活動および教育活動に18年携わってきました。研究活動としては、機能性食品素材に着目した骨粗鬆症予防に関する研究を主に行ってきました。一方で、教育活動の傍ら、地域貢献セミナーや社会人教育にも携わってきました。
 そういった研究・教育活動から疾病をいかに予防するかを考えるようになりました。つまり、薬剤で“病気にフタ”をすることで病気を抑えることよりも生活習慣(食事、運動、サプリメント)で“病因を流す”ことによって疾病を予防していくことを積極的に働きかけていきたいと考えるようになりました。

■略 歴

2000年東京農業大学農学研究科博士後期課程修了後、2018年まで大学教育研究機関で主にフラボノイドによる骨代謝調節に関する研究に従事した。