クレアチン

Creatine

   

投稿日:2022年8月3日/更新日:2024年3月22日


クレアチンの働きと効果|サプリの正しい飲み方も

 

近年、ジムや家庭で筋力トレーニングや運動をする人が増えており、

食事やサプリメントの摂取により、効率良く運動効果を高めたいという機運が高まっています。

 

今回解説するクレアチンは、運動パフォーマンスを上げる為に重要な成分の一つとして認知が広まっている成分の一つです。

さらに、昨今はスポーツパフォーマンスに役立つだけではなく、脳疲労回復や認知機能改善など、脳に良い影響を与えたり、メンタルケアなど、精神面にポジティブな影響を与えたりと、幅広い分野でサポートしてくれることが期待される成分です。

 

クレアチンとは何?

クレアチンイメージ

クレアチンは、数多くあるアミノ酸の一種です。

体内で合成されるアミノ酸で、クレアチンリン酸という形で、脳や網膜などをはじめ、体の様々な部位に存在しています。

そのほとんどが骨格筋に存在しており、全体の95%が骨格筋中に集中しています。

 

クレアチンリン酸は、クレアチンがリン酸化されたもので、肝臓で合成され血液によって筋肉に運ばれます。クレアチンとリン酸に分解するときにエネルギーを発生します。

 

ところで、生体は栄養を直接的にエネルギーとして使うことができません。アデノシン三リン酸(ATP)に変換され、細胞内でエネルギーとして利用されます。地球上の全ての生物がATPを利用して生命活動をおこなっています。

当然、筋収縮のエネルギー源もATPであり、ATPからリン酸基が切り離されアデノシン二リン酸(ADP)に分解される際に放出されるエネルギーが使われます。しかし、筋繊維中のATPにも限りがあるため、激しい運動時にはすぐに尽きてしまいます。クレアチンリン酸が自らのリン酸基をADPに引き渡すことで、エネルギー源であるATPの再合成が促進されます。

 

ATPの再合成を促すことで、瞬発力の必要な無酸素運動時のパフォーマンス向上に効果的で、短時間で激しい運動をするスポーツに取り組むアスリートや、筋力の向上が必要な方などの間では有名なアミノ酸です。

 

人体にクレアチンは、平均体重の成人男性で約120g貯蔵されていると言われますが、体内での貯蔵量が増加する事によって運動パフォーマンスが上がると言われています。

 

また、クレアチンは脳でのエネルギー供給や神経保護の役割を果たし、脳をサポートすることでも知られています。

さらに、クレアチンを摂取する事によりメンタルケアにも有効だと考えられているのです。

このように、激しくストイックな運動やトレーニングを必要する方だけではなく、日常生活を営む私たちにとっても、摂取することで有益な機能を持った成分なのです。

 

クレアチンの働きと効果

疲労回復

クレアチンの主な働きと効果を5つ解説します。

 

疲労回復効果

クレアチンの効果として有名なものの一つとしては疲労回復効果です。

身体を動かすエネルギーはATPであり、細胞内のミトコンドリアで産生されています。

激しい運動が続くと、ATPを作り出す機能が弱まり、エネルギー不足の状態が起こりますが、エネルギーが不足した状態では疲労が蓄積されやすくなると言われています。

ATPの再合成にはクレアチンリン酸が必要です。

サプリメントなどからクレアチンを十分に摂取する事で、クレアチンリン酸を作り出すため、体内でのATPの再合成を促し、エネルギー不足を防ぎ、疲労回復に効果を発揮します。

 

スポーツパフォーマンスの向上

クレアチンを摂取する事は、エネルギーの産生を高めるため、運動中の持久力の向上や、トレーニングによる筋力の向上が期待されます。

特に、激しい運動を伴う無酸素運動場などで運動パフォーマンスを高める事が確認をされており、短距離走のタイム向上など、様々なスポーツ分野で研究が続けられています。

もちろんアスリートだけではなく、加齢により下肢の弱り始めた方のウォーキングなどによる筋肉向上のサポートや、骨折などの事故や怪我からのリハビリテーションの際にもクレアチンの摂取は有用です。

 

特に、加齢に伴うロコモティブシンドロームや骨粗鬆症などでは、転倒・骨折による寝たきりのリスクを増大させる事が知られており、老後の不安感を抱く方は多いです。

そのため、運動や筋肉トレーニングにより身体を鍛えようという方は増えており、そうした方への訴求としてはクレアチンは適切といえるでしょう。

 

筋力向上への効果

クレアチンは、プロテインやBCAAなどの必須アミノ酸とは違い、クレアチン自体が筋肉になる事や、筋肉を作り出すことを直接的にサポートする事はありません。

一方で、クレアチンにはエネルギー産生を高める効果があるため、普段よりも強度の高いトレーニングを可能にします。その結果、トレーニングの質を高めることができ、筋肉量や筋力の向上へと繋がるのです。

 

特にアスリートやボディビルダーの方など、激しい筋力トレーニングを必要とする方には、いつもより1歩上のトレーニングがこなせる事は非常に重要です。

そのため、クレアチンによる疲労回復や、トレーニング効率の向上は大切で、アスリートなどからも好んで摂取されています。

 

メンタルパフォーマンス

クレアチンの摂取によって、メンタル面のパフォーマンス向上にも有益と言われております。

 

先述の通り体内のクレアチンの約95%は筋肉に含まれますが、残りの大半は脳内に存在しています。クレアチンは血液脳関門を通過することが明らかになっており、経口摂取することで脳内のクレアチン量が最大約10%増えることが報告されています。

クレアチン摂取による脳機能への影響は長年研究されており、ストレス過多の現代社会においては、クレアチン摂取によるメンタル面での機能性は今後も多く解明されていくかもしれません。

 

ストレス下での認知能力の改善

脳は体の総エネルギー代謝の最大20%を占めているとされ、エネルギー供給は脳細胞と中枢神経系の機能にとっても非常に重要です。クレアチン摂取による効果は、筋肉と同様に脳のエネルギー充足をサポートすることで脳細胞自体をエネルギー消耗から保護するのにも役立つとされています。これらのさまざまな研究からクレアチン摂取が認知機能(記憶やパフォーマンス)を改善し、ストレス耐性を高め、精神的疲労を軽減する可能性が示唆されています。

 

睡眠の質を向上

最近の研究でクレアチンが睡眠に好影響を与える可能性があることが示唆されています。

睡眠中、私たちの体は活動を抑制することでエネルギー消費を減らし、特に深い睡眠中に重要な疲労や損傷の回復の生理活動に必要な新しいエネルギー(ATP)を収集します。しかし、睡眠不足になると細胞のエネルギーが十分に満たされず、睡眠中の回復が十分にできない場合があります。

 

クレアチンは戦術の通りエネルギー産生サイクル(ATPサイクル)において、追加のエネルギーの産生を促すため、脳や細胞に必要なエネルギーの補充がされます。その結果、睡眠中の回復における生理活動が十分に行われることで、睡眠の質の向上につながるとされています。

また別の研究では、睡眠不足の被験者にクレアチンを摂取させたところ、睡眠不足による倦怠感が軽減する報告もあります。

 

クレアチンを多く含む食品

食材

クレアチンは、動物系のたんぱく質に含まれており、特に豚肉や鶏肉、牛肉などの肉類やサーモン、マグロ、ニシン、タラなどの魚類や牛乳などに多く含まれています。

加熱調理をすることによりクレアチンの量が減少してしまうため、生の状態での摂取が良いとされています。

しかし、肉類はもちろんのこと、タラやニシンも生食をするのは衛生面から考えても危険であり、現実的ではないでしょう。

 

また、サーモンやマグロでも毎日の生食は経済面や保存性を考えても難しいかもしれません。

そのため、サプリメントからの摂取が効率的です。

サプリメントは、製造後に残留しているクレアチンの量を計算して開発をされているものがほとんどであり、かつ衛生面であり保存性も高いです。

さらには、生の魚を食べるのが苦手という方でも飲むことができます。

 

クレアチンサプリメントの正しい飲み方

アミノ酸サプリメント
クレアチンを飲むタイミングとして最適なのは、トレーニングの直後です。

筋力トレーニングやスポーツの練習など、トレーニングの直後に糖質を摂ることは重要とされています。

理由としては、運動後の糖質摂取は、筋グリコーゲンの回復が促されるため、筋肉の分解が抑えられるためです。

 

逆に、摂取を怠るとエネルギーが枯渇した状態となり、せっかくトレーニングしていた筋肉が分解されてしまいます。

運動後の糖質摂取と共にクレアチンの摂取をすることで、運動後の十分なエネルギー回復を促し、筋肉の生合成の効率を高めることができるのです。

 

健康食品・サプリメントのOEMはHeldにお任せください

Held(ヘルト)では、お客様のニーズにあわせた、訴求力の高いサプリメントの企画・製造を行っています。

もちろん、スポーツアスリートへ向けた商品開発なども、企画から商品化までトータルサポートが可能ですので、クレアチンを配合したオリジナル製品の販売を検討している場合には、お気軽にお問い合わせください。

 

 
管理栄養士、博士(生物環境調節学) 千葉 大成

■監修

管理栄養士、博士(生物環境調節学)、専門は栄養生理学 千葉 大成

■人々の健康のために

 東京農業大学大学院博士課程修了後、国立健康栄養研究所、大学研究機関で、食と健康に関わる研究活動および教育活動に18年携わってきました。研究活動としては、機能性食品素材に着目した骨粗鬆症予防に関する研究を主に行ってきました。一方で、教育活動の傍ら、地域貢献セミナーや社会人教育にも携わってきました。
 そういった研究・教育活動から疾病をいかに予防するかを考えるようになりました。つまり、薬剤で“病気にフタ”をすることで病気を抑えることよりも生活習慣(食事、運動、サプリメント)で“病因を流す”ことによって疾病を予防していくことを積極的に働きかけていきたいと考えるようになりました。

■略 歴

2000年東京農業大学農学研究科博士後期課程修了後、2018年まで大学教育研究機関で主にフラボノイドによる骨代謝調節に関する研究に従事した。