酪酸菌の役割と健康効果

Butyrate-producing bacteria

   

投稿日:2022年8月4日/更新日:2024年3月22日


酪酸菌の役割と健康効果|サプリでの摂取がおすすめ

 

腸活する女性

 

「腸活」という言葉によって腸内環境を整える重要性は広く知られるようになりました。腸内環境を整える上でポイントになる善玉菌は、乳酸菌やビフィズス菌が有名ですが、最近では「酪酸菌」にも注目が集まっています。

今回は酪酸菌の役割や健康効果、摂取方法について解説しますのでぜひチェックしてみてください。

 

酪酸菌とは

理想的な腸内フローラのイラスト

人の腸内には100兆もの細菌が存在すると言われ、人体に良い影響を及ぼす「善玉菌」、有害物質を作り出す「悪玉菌」、勢力の強い方の作用に影響される「日和見菌」など、人体に様々な作用を及ぼす菌が棲んでいます。

酪酸菌とは、乳酸菌やビフィズス菌と同じ善玉菌の一種で、芽胞を形成する菌のため、胃酸などでは分解されることなく、腸に生きたまま届くことや、腸で食物繊維を分解して”酪酸”を作り出す機能があることが特徴的です。

腸内で善玉菌が作り出す主な短鎖脂肪酸は、酪酸、酢酸、プロピオン酸です。

乳酸や酢酸は、乳酸菌やビフィズス菌でも作り出せますが、酪酸を作れるのは酪酸菌だけです。

酪酸は短鎖脂肪酸の一つで、腸内のpHを正常に保ち、有害な菌が増殖することを抑えたり、免疫機能を正常化したり、肥満などの生活習慣病の予防効果があったりと、健康維持に幅広く寄与すると言われています。

 

また、酢酸はそれ自体が大腸のエネルギー源になることや、腸の蠕動運動を促進して腸内の環境を改善する効果もあります。さらに、大腸内で粘液の産生を増やすことで大腸のバリア機能を高める効果も知られています。

 

酪酸菌の役割と健康効果

腸活

酪酸菌の役割と健康効果として以下の4つを解説します。

 

免疫賦活効果

酪酸菌の生み出す酪酸には悪玉菌の活動を抑制し、腸内細菌叢と腸内環境の両方を改善する働きにより、感染症などからの免疫機能を高めます。

 

腸には人体の免疫細胞のほとんどが集約されていて、その割合は全体の約70パーセントとも言われています。

 

腸が健康な状態を保つ事は、便通の改善や美容目的だけではなく、風邪などのウイルスや細菌による感染症から身体を守るためにも必要な事なのです。

腸内の善玉菌を増やすために、生菌の含まれたサプリメントを摂取したり、乳酸菌・ビフィズス菌などが配合されたヨーグルトなどを摂取したりする事は多いかと思います。

様々な菌を摂取する事は、腸内細菌のバランスを整えて腸内環境を整えるために非常に大切です。

 

大腸のバリア機能を高める

酪酸菌には大腸の粘膜を強くし、バリア機能を高める効果があることが確認されています。

大腸には、水分を吸収し、残差から便を作る主な役割がありますが、同時に外敵から身を守る機能もあるのです。

外界にはさまざまな細菌や微生物などが存在し、これらは食物の摂取により体内に入ってきますが、中には人体にとって悪影響を与えるものもあります。

そのため、胃や腸には、こうした外界から身体を守る、粘性物質を産生する粘膜バリアと言われる機能があるのです。

大腸は便を作る器官であるため、便に含まれている有害物質から身を守る必要があります。

粘性物質によって直接便が腸壁に触れないようにすることで有害物質から守ることができるのです。

腸内環境が荒れることや、ストレス、食生活など生活習慣の悪化によって、この粘膜バリア機能が低下すると、腸炎などを引き起こすことにもなります。

酪酸には、大腸の粘性物質の生産を助ける機能があるため、大腸の粘膜バリア機能を高める事で、大腸から身体の健康を守る事に貢献していると考えられています。

 

腸内環境・腸内細菌叢の両方を改善

腸内には、さまざまな種類の善玉菌が存在します。

 

善玉菌は、食物繊維などを餌にして増え、その増える過程で酸を作り出し、善玉菌の作り出した酸によって腸内のphは適正に保たれます。

これにより、悪玉菌などの人体にとって良くない方に働く菌の過剰な発生を抑え、腸内環境のバランスを保っているのです。

酪酸は、有害物質を作り出す悪玉菌の発育を抑制し、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が棲みやすい腸内環境を整えることから、腸内細菌叢(フローラ)のバランス改善に高い効果があると言われています。

酪酸は、大腸のエネルギー源ともなるため、腸内の環境を整えて、乳酸菌やビフィズス菌が腸内で活躍することを助ける効果も期待できます。

酪酸菌は、これらのように善玉菌の住み良い環境をつくる事で、間接的に他の善玉菌を活性化し腸内細菌叢と腸内環境の両面を改善がを期待できるのです。

 

また、妊娠期の腸内環境が赤ちゃんの腸内環境へ影響を及ぼすと考えられていて、妊娠している方の善玉菌の積極的な摂取も有効と考えられています。

 

ただし、妊娠期に摂らない方が良い食品や菌も存在するため、サプリメントを選ぶ際も医師からの助言をもらうことは必要です。

 

アレルギー改善

アレルギーにはその特徴によりⅠ〜Ⅳ型に分類されますが、花粉症や動物の毛、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのⅠ型のアレルギーに悩む人は多いです。

現代では、アレルギー検査の精度が高まっている事により、自身の持つアレルギーについて認識している方も増えているのではないでしょうか。

 

また、日本人は花粉症の有病率が諸外国よりも高い傾向にあるという統計もあります。

さらには、日本人の2人に1人がアレルギー疾患に罹患していると言われ、アレルギーというメカニズムへの認識や知識が深い方も多いのではないでしょうか。

今回解説してきた腸内環境もまた、アレルギー症状へ影響を及ぼすと考えられている項目です。

 

一説では、食物アレルギーを持つ人では、腸内細菌叢が関係しているというデータもあり、、腸内での酪酸産生が低下している人と食物アレルギーを持つ人が相関関係にあるというデータも存在しています。

これらの事から、腸内環境を整える事はアレルギー症状の改善や予防に効果的であるとも考えられています。

 

酪酸菌の摂取方法

ぬか漬け

一般的に酪酸菌は土の中や水にも存在している菌です。

食品の中では、ぬか漬けや味噌、醤油、臭豆腐などに含まれます。

 

ただし酪酸臭という独特な匂いを発する事で一般食品ではあまり好まれないため、一般的な食品から有効量を摂取することが難しいというのが実情です。

そのため、サプリメントや健康食品から摂取する事がおすすめで、サプリメントや健康食品であれば、酪酸菌が有効量配合されているため、効率的な摂取が可能です。

 

また、毎日食べるのが難しい食べ物や、苦手な食品から摂取しなくても良いのがサプリメントの良さでもあります。

 

酪酸菌はサプリメントでの摂取がおすすめ

サプリメントからの摂取は、手軽に酪酸菌を摂取できるためおすすめです。

 

食品からの摂取の難しい酪酸菌だけではなく、サプリメントであれば様々な善玉菌を一気に摂取できる製品も少なくありません。

 

酪酸菌のサプリメントと一緒に摂取すると良いビフィズス菌や乳酸菌の入ったサプリメントなどを選んでみるのも良いでしょう。

 

サプリメントを飲む最適なタイミング

酪酸菌のサプリメントを摂取する最適なタイミングは、その得たい効果によっても異なります。

一般的には腸のゴールデンタイムと言われる22時〜午前2時が良いと言われます。

飲む時間帯に迷ったらこの時間帯が良いでしょう。

一方で、得たい効果がある場合は、そのタイミングに合わせる事がおすすめです。

便通改善を求める場合は食後が良いでしょう。

食後の善玉菌の摂取は、腸に届きやすくなると言われており、その効果が最大限発揮されます。

 

また、ストレスの改善などメンタルケアを求める場合は朝がおすすめです。

腸ではセロトニンと言われる幸せホルモンを作り出していますが、主に日中に作られていますので、朝に善玉菌を摂取しておく事は良いと考えられています。

セロトニンが欠乏するとイライラしたり焦ったりと、ストレスに悩まされてしまいます。

腸を元気にして幸せホルモンをたくさん作ってあげることも大切です。

 

これらのように、摂取すると良いタイミングはいくつかありますが、自身の体調に合わせて摂取する事が1番大切です。自分自身と向き合いながら、無理なく続けてみましょう。

 

生菌製品のOEMもHeldにお任せください!

Held(ヘルト)では、お客様のニーズにあわせた、訴求力の高いサプリメントの企画・製造を行っています。

企画から商品化までトータルサポートが可能です。

乳酸菌やビフィズス菌などの生菌商品の製造をはじめ、より製剤ハードルの高い酪酸菌などの芽胞菌の製造にも対応が可能です。

より体感性の高い生菌配合の腸活ケア製品を検討している場合にも、お気軽にお問い合わせください。

 

 
管理栄養士、博士(生物環境調節学) 千葉 大成

■監修

管理栄養士、博士(生物環境調節学)、専門は栄養生理学 千葉 大成

■人々の健康のために

 東京農業大学大学院博士課程修了後、国立健康栄養研究所、大学研究機関で、食と健康に関わる研究活動および教育活動に18年携わってきました。研究活動としては、機能性食品素材に着目した骨粗鬆症予防に関する研究を主に行ってきました。一方で、教育活動の傍ら、地域貢献セミナーや社会人教育にも携わってきました。
 そういった研究・教育活動から疾病をいかに予防するかを考えるようになりました。つまり、薬剤で“病気にフタ”をすることで病気を抑えることよりも生活習慣(食事、運動、サプリメント)で“病因を流す”ことによって疾病を予防していくことを積極的に働きかけていきたいと考えるようになりました。

■略 歴

2000年東京農業大学農学研究科博士後期課程修了後、2018年まで大学教育研究機関で主にフラボノイドによる骨代謝調節に関する研究に従事した。