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投稿日:2025年9月17日/更新日:2025年9月17日

目次
先日、株式会社龍泉堂社の学術セミナー(2025.09.10)がありました。
そのセミナーの基調講演で『暦年齢から生物学的年齢を考えるようにしよう(近畿大・山田秀和先生)』という内容を興味深く拝聴いたしました。
これまでのウェルビーング(※1)からフローリッシング(※2)という概念を基にアンチエイジングを考ようという内容でした。ここでは健康食品がどのようにフローリッシングに寄与できるかまとめてみました。
※1・・・「ウェルビーイング(Well-being)」とは、直訳すると「良い状態」「健やかであること」を意味し、心身・社会的・精神的に満たされた状態
※2・・・「フローリッシング(Flourishing)」とは、ポジティブ心理学の用語で、人が本来の力を発揮し、心身ともに充実して、活き活きと繁栄している状態
これまで「ウェルビーイング(Well-being)」は、健康や幸福を測る重要な概念として注目されてきました。
しかし近年、学術的な議論では「フローリッシング(Flourishing)」という新たな視点が広がりつつあります。
フローリッシングは、アメリカ心理学者マーティン・セリグマンらが提唱したポジティブ心理学の枠組みに基づき、「身体的健康」「心理的充実」「社会的関わり」「生きがい」といった多面的要素を満たす状態を指します [1]。
単なる不調の回避ではなく、人間の潜在能力が最大限に発揮される状態であり、これこそが「真の若返り」と「生きがい」を同時に実現する基盤と考えられています。
フローリッシングを栄養学的に支えるには、次の3つの側面が鍵になります。
• オメガ3脂肪酸(EPA・DHA):
多数のメタ解析で、EPA/DHAの摂取は抑うつ症状の改善や気分安定、認知機能サポートに関連すると報告されています [2][3]。
• ビタミンD:
ビタミンD欠乏と抑うつ、認知症リスクとの関連は複数の疫学研究で指摘されています [4]。適正レベルの維持は、精神的ウェルビーイングを支える基盤です。
• コエンザイムQ10(CoQ10):
ミトコンドリア内でATP産生を担う補酵素。加齢とともに減少するため、補給は疲労軽減・心血管機能改善と関連しています [5]。
• コラーゲン・エラスチン:
関節・皮膚・血管の柔軟性に関与。サプリ補給による肌弾力改善や関節痛緩和のエビデンスが報告されています [6]。
• ビタミンB群:
特にB6、B9(葉酸)、B12は神経伝達物質合成やDNAメチル化に必須です。認知機能維持やホモシステイン低下作用を通じて脳の健康をサポートします [7]。
• マグネシウム:
ストレス応答の調整、睡眠の質改善に関与。さらに神経可塑性(Neuroplasticity)との関連も議論されています [8]。
血液検査や食習慣を踏まえ、不足しやすい栄養素を補うことが基本となります。
例:オメガ3は1〜2g/日が一般的な臨床試験量が必要になります。高用量摂取は抗凝固作用に留意しないといけません。
サプリメント単独では不十分なので、運動(特に筋力トレーニング)、良質な睡眠、社会的交流と併せることでフローリッシングを実現できると思います。
• 「フローリッシング」は、身体的健康だけでなく、精神的充実や社会的つながりを含む包括的幸福の概念。
• 栄養科学的には、神経機能・細胞のエネルギー産生・認知機能の維持を支える成分が重要。
• サプリメントは不足を補い、生活習慣と統合することで「真の若返り」と「生きがい」の両立をサポート。
フローリッシングを実現することは、個々人の幸福にとどまらず、社会全体の活力向上にもつながる可能性があります。
サプリメントはその一助となる「科学的ツール」として、今後ますます研究と応用が広がっていくでしょう。
1. Seligman MEP. Flourish: A visionary new understanding of happiness and well-being. Free Press, 2011.
2. Grosso G, et al. Omega-3 fatty acids and depression: scientific evidence and biological mechanisms. Oxid Med Cell Longev. 2014;2014:313570.
3. Liao Y, et al. Efficacy of omega-3 PUFAs in depression: A meta-analysis. JAMA Netw Open. 2021;4(5):e211212.
4. Ju SY, Lee YJ, Jeong SN. Vitamin D and depressive symptoms in adults: A meta-analysis. J Psychiatr Res. 2013;47(9):114-121.
5. Mortensen SA, et al. The effect of coenzyme Q10 on morbidity and mortality in chronic heart failure: Results from Q-SYMBIO study. Eur Heart J. 2014;35(25):1769-79.
6. Choi SY, et al. Dietary collagen supplementation improves skin hydration, elasticity, and density: A randomized controlled trial. J Cosmet Dermatol. 2019;18(2):454-461.
7. Smith AD, et al. Homocysteine-lowering by B vitamins slows the rate of accelerated brain atrophy in mild cognitive impairment. PLoS One. 2010;5(9):e12244.
8. Boyle NB, et al. The effects of magnesium supplementation on subjective anxiety and stress—A systematic review. Nutrients. 2017;9(5):429.