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投稿日:2025年5月1日/更新日:2025年9月17日

■はじめに
魚介類は一般的に体に良いというポジティブなイメージがあり、健康や美容にこだわる方々にも積極的に摂取する傾向が見られます。
しかし、現代の日本人の魚介類の摂取量は年々減少傾向にあります。
ところで、最近、L. Nel et al.のグループは小児期における魚介類の摂取は思いやりができる行動に多大な影響を及ぼすということを報告しました(Eur J Nutr., 2025; 64: 120)。
魚介類の新たな効果についてまとめました。
目次

魚介類には、神経や認知機能の発達に重要な役割を担う必須栄養素が豊富に含まれていることが知られています。
さらに、イギリスでは小児期に週に少なくとも2食分の魚(7歳で190g/週)を摂取することが推奨されています。
一方、これまで小児期の魚介類の摂取量が神経認知機能の発達にどのように関わるかという研究は多くみられていません。
この報告では、イギリスの大規模前向き観察研究(Avon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC))のデータを用いて、魚介類の摂取と8歳時の認知発達(IQ)および7歳時と9歳時の行動発達(子どもの強さと困難さの質問票:Strength and Difficulties Questionnaire(SDQ)スコア)との関連を調査しました。
対象はALSPACに登録された小児のうち、完全な食事データとIQデータがある5,969例、完全な食事データとSDQスコアがある7歳児8,276例と9歳児6,819例という大規模な対象者でした。
調査の内容として、魚介類摂取量と7歳時および9歳時の最適でないSDQスコアと8歳時の最適でないIQとの関連を調べました。

魚介類摂取量別に平均IQとSDQを見ると、魚介類の摂取量とIQには関連性は認められませんでした。
しかし、7歳時の魚介類摂取量が多いほど、SDQの向社会的行動スコアが高く、多動性、行動、仲間の問題、総合的困難さのスコアが低くなっていました。
9歳時でも同様な結果でした。さらに、行動発達は、7歳時に魚介類摂取量が少ないと、7歳および9歳時の向社会的行動スコアが低くなる可能性が高くなっていました。
認知発達は、魚介類摂取量と8歳時のIQスコアとの関連はみられませんでした。

本報告から、7歳時の魚介類摂取量が少ないことと、7歳および9歳時のSDQの向社会的行動スコアが最適でないことに関連性がありましたが、7歳時に魚介類を摂取しないことと8歳時の最適でないIQとの関連性は認められませんでした。
すなわち、魚介類の摂取量はイギリスが定める推奨量以下の小児グループにおいて、特に向社会的行動に多大な悪影響を及ぼすことが示されました。

向社会的行動とは心理学では、相手のことを思いやる、または誰かのために行う行動のことを指します。
将来的に、小児期に魚介類を多く摂取する習慣があれば、将来、やさしさのある社会になるかもしれませんね。もともと日本は周囲を海に囲まれ、豊かな漁場や川、湖などにも恵まれており、古来より多くの魚介類が取れる国です。
この報告の内容だけでなく魚介類には多くの健康を向上させる効果があるので、保護者の方が色々な調理方法をつかって毎日の摂取を試していきたものですね。