コラム

Column

投稿日:2025年2月1日/更新日:2025年1月31日


健康寿命の延伸に酪酸菌
健康長寿

●はじめに
酪酸菌とは、乳酸菌やビフィズス菌と同じ善玉菌の一種で、芽胞を形成する菌のため、胃酸などでは分解されることなく、腸で食物繊維を分解して”酪酸”を作り出す機能があることが特徴的です。
 
最近、乳酸菌・ビフィズス菌に加え、酪酸酸性菌が注目されつつあります。短鎖脂肪酸の中でも酪酸を産生する菌を酪酸酸性菌と呼びますが、多くの細菌が含まれています。また、乳酸や酢酸は、乳酸菌やビフィズス菌でも作り出せますが、酪酸を作れるのは酪酸菌だけです。さらに、腸内のpHを正常に保ち、有害な菌が増殖することを抑えたり、免疫機能を正常化したり、生活習慣病の予防効果など健康維持に幅広く寄与すると言われています。
腸内環境
 

酪酸・酪酸菌がもたらす健康効果とは?

(1) 免疫賦活効果
酪酸菌の生み出す酪酸には悪玉菌の活動を抑制し、腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)と腸内環境の両方を改善する働きにより、感染症などからの免疫機能を高めます。
腸には人体の免疫細胞のほとんどが集約されていて、その割合は全体の約70パーセントとも言われています。腸が健康な状態を保つ事は、便通の改善や美容目的だけではなく、風邪などのウイルスや細菌による感染症から身体を守るためにも必要な事なのです。
 

(2) 大腸のバリア機能を高める
酪酸菌には大腸の粘膜を強くし、バリア機能を高める効果があることが確認されています。大腸には、水分を吸収し残差から便を作る主な役割がありますが、同時に外敵から身を守る機能もあります。
また、 腸内環境が荒れることや、ストレス、食生活など生活習慣の悪化によって、この粘膜バリア機能が低下すると、腸炎などを引き起こすことにもなります。酪酸には、 大腸の粘性物質の生産を助ける機能があるため、大腸の粘膜バリア機能を高める事で、大腸から身体の健康を守る事に貢献していると考えられています。
 

(3) 腸内環境・腸内細菌叢の両方を改善
腸内には、さまざまな種類の善玉菌が存在します。善玉菌は、 食物繊維などを餌にして増え、その過程で酸を作り出し、善玉菌の作り出した酸によって腸内のpHは適正に保たれます。これにより、悪玉菌などの菌の過剰な発生を抑え、腸内環境のバランスを保っているのです。酪酸は、 悪玉菌の発育を抑制し、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が棲みやすい腸内環境を整えることから、腸内細菌叢(フローラ)のバランス改善に高い効果があると言われています。
酪酸は、 腸内の環境を整えて、乳酸菌やビフィズス菌が腸内で活躍することを助ける効果も期待できます。
すなわち、 酪酸菌は、善玉菌の住み良い環境をつくる事で、間接的に他の善玉菌を活性化し腸内細菌叢と腸内環境の両面を改善が期待できます。
腸内環境
 

(4) アレルギー改善
花粉症や動物の毛、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎などのⅠ型のアレルギーに悩む人は多いです。現代では、 アレルギー検査の精度が高まり、自身の持つアレルギーについて認識している方も増えてきています。
また、日本人は花粉症の有病率が諸外国よりも高い傾向にあるという統計もあり、日本人の2人に1人がアレルギー疾患に罹患していると言われています。
一方、腸内環境もまた、アレルギー症状へ影響を及ぼすことが多く報告されています。食物アレルギーを持つ人では、腸内細菌叢が関係しているというデータもあり、、 腸内での酪酸産生が低下している人と食物アレルギーを持つ人が相関関係にあるという報告もあります。
これらの事から、腸内環境を整える事はアレルギー症状の改善や予防に効果的であるとも考えられます。
花粉症
 

酪酸菌の摂取方法

酪酸菌は自然界に多く存在しており、土の中や水にも含まれる菌で、食品の中では、ぬか漬けや味噌、醤油、臭豆腐などに含まれます。ただし酪酸臭という独特な匂いを発する事で一般食品ではあまり好まれないため、一般的な食品から有効量を摂取することが難しいというのが実情です。
そのため、サプリメントや健康食品から摂取する事が現実的で、これらから摂取すれば、 酪酸菌が有効量配合されているため、効率的な摂取が可能です。
また、食品からの摂取の難しい酪酸菌だけではなく、サプリメントであれば様々な善玉菌を一気に摂取できる製品も少なくありません。酪酸菌のサプリメントと一緒に摂取すると良いビフィズス菌や乳酸菌の入ったサプリメントなどを選んでみるのも良いでしょう。

 

まとめ

サプリメントは薬剤と違い、服用するタイミングを言及することはできませんが、一般的に吸収が良いと言われる22時〜午前2時が良いと考えられています。
一方、便通改善を求める場合は食後が良いと思います。食後の善玉菌の摂取は、 腸に届きやすくなると言われており、その効果が最大限発揮されます。また、ストレスの改善など目指す場合は起床時に摂取する方が良いかと思います。
 

腸ではセロトニンと言われる幸せホルモンを作り出していますが、主に日中に作られていますので、朝に善玉菌を摂取しておく事は良いと考えられています。セロトニンが欠乏するとイライラしたり焦ったりと、ストレスに悩まされてしまいます。
これらのように、摂取すると良いタイミングはいくつかありますが、自身の体調に合わせて摂取する事が1番大切ですので自分自身と向き合いながら、無理なく摂取することをお薦めします。