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投稿日:2025年11月26日/更新日:2025年11月27日
目次
株式会社Heldでは、アメリカ・ラスベガスにて健康食品・サプリメント市場の現地視察を行いました。
本シリーズでは、全3回にわたり、展示会・量販店・ライフスタイル型小売を通して見えてきた、アメリカ市場の現在地をレポートとしてお届けします。
アメリカ・ラスベガスで毎年開催される「SupplySide West」は、健康食品・サプリメント分野における世界最大級の原料展示会だ。
原料メーカー、加工技術企業、OEM工場など、“製品づくりの最上流”に位置する企業が世界中から集まるため、この展示会を歩けば「今、世界のメーカーが何を重視し、どんな未来を見据えているか」を最速でつかめる。
2025年も1,500社以上が出展し、参加国は130か国以上。
視察担当者が現地で確認したところ、メインフロアに加え、新規企業が集まる2階フロアも大きく賑わっており、展示会全体を1日で回り切ることはほぼ不可能な規模だったという。
2階には無料フードゾーンが設けられ、商談者同士が気軽に交流する“アメリカらしい開放感”が会場全体に広がっていた。

そんな巨大展示会の記録を読み解くと、ただ素材が多いだけではなく、いくつかの領域で厚みのある動きが生じていることが浮かび上がる。
最も目立った領域のひとつが、コラーゲン関連素材の多さである。
会場では、加水分解Ⅱ型コラーゲンにヒアルロン酸やコンドロイチンを組み合わせた原料が展示され、由来原料、臨床データ数、ハラール認証の有無、推奨摂取量と期間など、非常に細かい情報まで提示されていた。
これは、アメリカ市場において「科学的根拠を重視したコラーゲン原料」がすでに標準化していることを示している。
また、展示会内のグミ工場のブースでは、ビタミンやキノコ原料を使ったグミに加え、コラーゲングミも紹介されていた。
食感の違いまで複数種類があり、現地担当者からは「子どもの頃からグミで栄養をとる文化がある」という説明もあった。
これらの事実を重ねると、コラーゲンは「原料の高度化」と「摂取形状の多様化(特にグミ)」の両面で存在感を増していることが見てとれる。


今年、複数のブースで展示されていたのが AKK(Akkermansia muciniphila)だ。
腸内細菌のひとつで、「若返り菌」「痩せ菌」といった呼称とともに、腸管バリアの調整、体重管理、血糖値低下、抗老化など、多面的な作用が紹介されていた。
現地での説明によると、欧米圏ではAKKを保有する人が比較的多いとされる一方、日本人での有効性についてはまだ確証が得られていないという。
また、中国では研究が盛んであるものの、国内規制の関係で原料輸出・製品輸入というユニークな市場構造になっているなど、国ごとに異なる背景も見えた。
複数企業がこの菌を扱っていたという事実から、AKKは「国際的な注目素材として確実に存在感を高めている」と言える。

視察記録で共通して触れられていたのが、リポソーム加工技術を扱う企業の多さだ。
ビタミン類に限らず、複数の原料をリポソーム化する提案が複数社から行われており、「特定の素材向けの特殊技術」から、「幅広い原料への応用を前提とした一般的な加工技術」へと発展している段階に入っていることが読み取れる。
展示会の場で、これほど多くのリポソーム関連企業が集まっていた点は、今年の特徴と言ってよいだろう。

視察内容の中で特に印象的だったのが、自然派素材の厚みである。
しいたけ(SHIITAKE)を含むキノコ素材を扱う企業は複数見られ、発酵飲料であるKOMBUCHAも引き続き出展されていた。
また、天然色素を扱う企業や、NMN・NADを扱う中国系メーカーなど、多様な企業が集まっていたことが記録されている。
これらは、アメリカ市場の特徴である“自然・発酵素材の裾野の広さ”を象徴する事例と言える。

展示会場には、韓国、中国、オランダ、アメリカなど、数多くのOEM工場が出展していた。
グミ工場、リポソーム加工工場、原料OEMなど、製造工程ごとに専門性を持つ企業が幅広く揃っており、製品づくりにおける選択肢が国境を越えて広がっていることを示していた。
特にグミ工場の出展数が多かった点は象徴的で、アメリカ市場における“グミサプリ文化”の確立を裏付ける事実でもある。
こうして展示会内容を振り返ると、SupplySide West 2025が示したのは、素材の多さよりも、特定カテゴリーの「厚み」であることが分かる。
コラーゲンの発展、AKKの国際的な伸び、リポソーム加工の一般化、自然派原料の広がり、形状としてのグミの定着──。
いずれも、視察で見た事実だけを丹念に拾い上げても、今年の展示会がこれらの潮流を明確に描いていたことが読み取れる。
原料の展示会は“未来の商品群の入口”だ。この展示会が示した方向性は、2025年以降の日本市場にも間違いなく影響を与えていくだろう。